2018.09.06更新

資格を持っていても、その多くの人は歯科衛生士として働いていません。
歯科衛生士登録者数は約25万人いるのにも関わらず、そのうち実際に働いているのは12万人という現実があるのです。
しかも歯科衛生士は離職率が高いと言われています。
ある統計調査によるとその、やめる理由の第1位は「出産と育児」だそうです。仕事を持つ多くの女性がぶつかる問題でもありますよね。
そして、再び仕事をしようと思っても、一番の障害になっているのは「勤務時間」だそうです。

私も2人の子育てをしながら歯科衛生士として働いていたので、家庭と仕事の両立が、いかに大変かがわかります。
今日は、多くの歯科衛生士が乗り越えなければならない子育てと仕事の両立について書きたいと思います。

私は24歳で第1子を授かりました
当時、多くの患者さんが来院する歯科医院で働いていました。歯科衛生士は私ひとり。
スタッフの数も少なく、ひとり抜けるとそのしわ寄せが他のスタッフにのしかかってしまいます。
小さな医院では長期の休暇を取ることは難しいですよね。

途中、入院をしながらも臨月に入るまで仕事をし、無事に出産。
産休制度を使いましたが補充のスタッフもいないこともあり、産後6ヶ月でフルタイムで職場復帰をしました。人がいないことが復帰の1番の理由でした。

私の場合、主人の母が子供をみてくれたこと。支えてくれる人が身近にいたことが、フルタイムでの復帰を可能にしました。
それから3年後に2人目を出産。その時には産休に加え育児休暇を取れるよう、働く環境が整備されていました。

育児休暇後はパート勤務に変更しましたが、ここでの勤務時間の選択にも人手不足が影響しました。歯科医院は夕方以降の歯科衛生士不足が顕著なのです。
その時間に人手が必要だということは痛いほどわかっていました。
そこで私は、夕方から最後までの時間を含むパート勤務を選択しましたが、この時間の選択が自分自身を苦しめたのです。

保育園から帰ってくる子供と過ごす時間は減り、すれ違いの生活になっていきました。
その頃の私は、仕事は好きでしたが、歯科衛生士としても母親としても中途半端な自分を責めていました。
そんな働き方を続けた末、体も心も悲鳴をあげ、ついに30歳の頃退職をすることになってしまったのです。

仕事を離れた1年半。

この間にも、予期せぬ「次なる壁が私の前に立ちはだかりました」
その頃の私は出口の見えない暗いトンネルの中にいました。
何もする気が起こらなくなり最低限の家事をする以外、ソファーで横になる日が増えていきました。
ずっと仕事をしてきた私にとって、仕事から離れて襲ってきたのは社会からの孤立感だったのです。「社会の役に立っていないダメな自分」しだいにそう思うようになってしまいました。

 

専業主婦だった頃の私

<専業主婦だった頃の写真>

 


仕事と子育ての葛藤は実際に経験をしないとわからないものですね。

やがて時間と共に少し心も体も癒えた頃、元の職場に午前中だけのパートとして働くことにしました。
スタッフも増え、以前よりも、自分の希望に沿った時間の選択ができるようになっていました。
それでも子供たちが病気になると休みをもらわなければならないこともあり、思うように働けない日もあります。
申し訳ない気持ちで朝、職場に電話をします。心がいたみます。
電話の向こう側から「わかりました、大丈夫ですよ(^^)」と聞こえてくる温かい声に私は何度も救われました。

柔軟な働き方ができること。子育ての時期には重要なことですよね。

でも、休んだ分、仕事に出たときに、ちょっとした隙間の時間もムダにせずに働こうと心がけていました。
手の空いた時間におしゃべりをすることはありません。
ブラインドや窓、床のちょっとした汚れをサッと拭いたりします。率先して整理整頓やそうじをしていました。
ちょっとした心がけひとつで医院はいつもキレイを保つことができました。
職場をきれいにしていると不思議と支援・応援が広がりました。
トイレの神様と同じように、きれいにしている人を神さまは応援するようです。

子育てをひと段落した今、子育てと仕事の両立について大切なことは
①身近にサポートを受けること
②柔軟で働きやすい職場環境
③応援してもらえる自分や風土づくり
の3つだと思っています。
これを実現するには、家族、医院、そして私たち歯科衛生士の意識が変わらなければなりませんよね。
働きながら楽しく子育てができる歯科衛生士が増えるよう、私がこれまで掛けてもらった温かい言葉と応援を、贈っていこうと思います。

 

投稿者: 一般社団法人Jokanスクール

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