多くの歯科衛生士は、患者さまから「歯石取りは痛いから嫌だ」と言われてしまう経験があります。
歯周ポケットが深くなればなるほど、歯石取りは難しくなり患者に痛みを与えるリスクがありますよね。そのため、深い歯周ポケットの歯石取りには必ず『麻酔が必要!』と思い込んでいる歯科衛生士も少なくありません。
今日は深い歯周ポケットでも麻酔なしで痛みを与えない歯石取りができるヒケツについて書こうと思います。
『テストスティックを見れば歯石取りが上手いか下手か分かる?!』
歯周ポケットの中の歯石を取るにはキュレットスケーラーという先端に小さな刃がついた道具を使います。そのキュレットスケーラーの切れ味をチェックする道具がテストスティックです。長さ8cmくらいのプラスチック製の棒です。刃先を軽く押し当て切れ味を確かめます。この切れ味を確かめる作業をテスティングといいます。
【テスティング】の様子
<テストスティック>
上記は、あるふたりの歯科衛生士が使っていたテストスティックの画像です。
あなたの使用しているテストスティックはA・Bどちらに近いですか? Aは軽く刃先を当てるだけで刃が付いているかを確かめています。一方Bは、力を入れてガリガリとキズをつけています。Aのテストスティックの人は患者に痛みを与えない人です。AとBは、指先に伝わる触感を繊細に感じ取っているかどうかの違いがあるのです。
なぜAのようになることが痛みを与えない歯石取りに繋がるのでしょうか?それには3つのことが必要になります。
1つ目は、しっかりと安定したレスト(固定となる指)
2つ目は、自由に動かせる腕
3つ目は、軽く触れただけでも切れ味が分かる繊細な指先の感覚です。
この3つは、歯周ポケットの中に付いている歯石を取る時にも必要なポイントになります。だからテストスティックの状態と、その人の歯石取りの状態とは一致するのです。つまり、深い歯周ポケットの歯石取りを上達させるには、スケーラーを研ぐことやテスティングを上達させることが不可欠なのです。
私のテストスティックの状態です。新品と並べてみましたが細かなキズが付いていると思います。先ほどの深いキズが付いたテストスティックと比べていかがでしょうか?
研修では、このようなテスティングができるようになるために、一人ひとり丁寧に指導しています。
実際の臨床でも、ほぼ麻酔なしで歯周ポケット内の歯石を取ります。おのずと丁寧な器具操作になっていきますが、患者様の中には、うとうととする方もいます。
テスティングで繊細な指先の感覚を養う。歯石取りの上達と密接に関わっているのです。