皆さま、こんにちは。講師の中村和恵です。
新年度も始まり、Jokanスクールも2019年度生が新しく入校しました。
皆、ドキドキしながら入校式の日を迎えたことと思います。彼女たちは一般の歯科医院に勤務しながら、1年間毎月1回、日曜日を使いJokanスクールの研修に参加しています。
歯科医院に勤務していると、患者さんからよくこんな言葉を言われます。「とにかく歯科医院が一番嫌」 どんなことが一番嫌かを尋ねると、「痛いから」「怖いから」治療での痛みに関する言葉がほとんどなのです。
私たち歯科衛生士は、口腔内で様々な器具を使いながら仕事をしていきます。口腔内には“歯”という硬組織の他に、“歯肉”などの軟組織もあり、“粘膜”に直接触れる仕事でもあります。歯石を取るための「スケーラー」という器具には、先端に小さな刃が付いています。それら先の尖った器具を、狭い口腔内で操作しなければいけません。
このデリケートな「粘膜に直接触れる」ということを考えると、歯科衛生士は究極の手技を持って器具を自在に操作出来るようにならなければいけません。
そのために大切なことが3つあるのですが、何だと思いますか?
全てのことに通じる基本でもありますが、まずは
➀「器具を正しく持つ」こと
口腔内で器具を自在に操作出来る持ち方の基本は「モディファイドペングラスプ法」です。歯科衛生士学校でも習う持ち方ですが、多くの歯科衛生士はこの持ち方が習得されないまま、自己流で仕事をしています。
2つ目に大切なことは
➁「レスト(固定指)を強化」することです
器具を動かす時に、手を安定させ力をコントロールする支点となる指のことをレストといいます。このレスト(固定)の指となるのが薬指す。薬指はもともと力が弱く、安全で確実な操作をするためにも、弱い薬指を強くすることが重要になります。
3つめに大切なことは
③「スケーラーの刃を研ぐ」ことです
歯石を取る時に使う道具のキュレットスケーラーは、歯科衛生士の命。刃の付いたキュレットスケーラーを作れないと仕事になりません。
刃のないキュレットスケーラーでは歯石を取ることはできないばかりか、力任せに器具を操作してしまい、その結果患者さんに痛みや苦痛を与える原因になってしまいます。例えば、よく研がれた包丁と、研がれていない包丁を想像してみてください。切れない包丁で肉や野菜を切るときには、かなりの力が要りますよね。一方、よく研がれた包丁で切る時には、力はさほど必要ではないのと同じで、適正に研がれているスケーラーを使うと、力任せに操作しなくてもよくなるのです。
これらの3つの大切なことに共通していること。それは指先(指頭(ゆびがしら))の強化です。繊細な感覚を養い指頭(ゆびがしら)を鍛える。このことが患者さんに痛みを与えない器具操作ができる秘訣なのです。